物流塾

効率化と品質向上を目指す構内物流標準化マニュアル 第10回〜出荷作業の標準化(下) 出荷コストを下げるコツ

異常コストを認識する

 出荷コストを下げるためにはいくつかの方策が考えられる。

1つ目は運賃を適正化することだ。できるだけ路線便を使わないようにすること。

そして運送会社を競合状態に置き、1社に対する発注量を増やすことで運賃の適正化を図ろう。

2つ目として運送会社への余分な負担を減らすことも重要。例えば構内での待機時間を無くすとともに、荷役時間を減らすことを考えたい。

3つ目はトラックの有効活用だ。1台に積載できる貨物を増やし、トラック積載率を向上させなければならない。

 トラック積載率向上方策として「トラック合わせ生産」にチャレンジしてみてはどうか。

ちょうどトラックが満載になるよう生産することになるが、客先との調整や複数客先の荷物を混載する前提での生産をも行う必要性が生じる。

 そして4つ目として異常コストを極力ゼロに近づけたい。異常コストの典型が「特便」だ。計画通りに生産できず通常便に載せられなかった場合に発生する。この異常コストの低減のためには「特便のコストを生産部署に負担させること」や「特便グラフを工場内に掲示すること」などの施策が必要になる。

通箱とパレット管理の徹底

 出荷コスト低減の一環として「通箱」と「パレット」(以下通箱等)の管理を徹底しよう(図1)。

この管理ができていないと通箱等が社外流出してしまい、それらを補充購入しなければならなくなる。

そこで出荷担当者は通箱等の品質管理と数量管理を自らの業務として位置付けたい。

 通箱等の管理には容器管理伝票を用いる。これに出荷側が持ち出し数量を記入し、受け取り側は同数を受け取り数とする。

これを継続することで、どちらに通箱等がいくつあるのかを分かるようにする(図2)。出荷担当者は出荷先から戻された通箱等について現品の数と先方が記入した容器管理伝票上の数を確認する。

もしその数に差があった場合には速やかに先方に連絡し、伝票上の数を修正するようにしよう。これを怠るとどちらにいくつあるのかがわからなくなり、最悪の場合通箱等が不足することにもつながるので注意が必要だ(図3)。

出荷に関するコンプライアンス

 実は出荷に関して気にしなければならないことがある。それは「コンプライアンス」だ。出荷担当者だけでなく荷主企業が順守すべきコンプライアンス事項として「トラック待機」や「トラックへの過積載指示」、「速度超過を招くような短納期指示」などが考えられる(図4)。

当コンプライアンスに関しては国土交通省の「トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン」を参照し、好ましい行動をとるようにしたい。

 特に最近は、物流2024年問題や法改正に伴い、トラックドライバーを待機させる事例が社会問題化している。手積み手降ろしもドライバーの負担を考慮し改善が求められつつある。昨今の社会環境も考慮した物流業務を行っていくことを心がけたい。

出荷コスト・出荷管理のKPIとは

 出荷コストを測るKPIとして結果系の代表格は「製品1台あたりの出荷コスト」ではないだろうか。

そして要因系としては「トラック積載率」や「特便配車件数」などがふさわしいと思われる。

出荷管理のKPIでは結果系では「通箱等減耗率」がよいだろう。通箱等の管理がしっかりとできていなければこの数字は大きくなる。

そして要因系のKPIでは「通箱等の理論値と実数の合致率」を取ってみよう。どこかのタイミングで必ず通箱等の棚卸は実施することになる。その時に合致率が何パーセントになるかを把握する。もちろん、100%に近いことが望ましい。

【第10回まとめ】

  • 出荷コスト削減には、運賃適正化、待機・荷役削減、積載率向上、異常コスト抑制の4つの方策がある。
  • 「特便」などの異常コストは、費用負担の適正化やグラフ掲示によって極力ゼロに近づけること。
  • 流出による補充コストを防ぐため、容器管理伝票を用いて通箱やパレットの数量・品質管理を徹底すること。
  • トラック待機や過積載の撲滅など、国の荷主適正取引ガイドラインを順守したコンプライアンス経営を行うこと。
  • 結果系KPI(製品1台あたりコスト、減耗率)と要因系KPI(積載率、特便件数、棚卸合致率)をセットで管理すること。

この記事の作者
仙石 惠一

合同会社Kein物流改善研究所 代表社員