物流塾

常温でできる低温物流

1.冷蔵冷凍輸送品は私たちの生活物資の重要な部分を占めます

NBコールドチェーン代表取締役 日野 弘です。今年も猛暑の夏です。アイスクリームや冷凍食品等は好調です。野菜や果物も好調です。

これらを冷やして運ぶ冷蔵冷凍輸送は大活躍です。

冷蔵冷凍輸送のおかげで毎日美味しい食品が食卓に並びます。例えば、レタスやベビーリーフ等の葉物野菜、牛乳、バター、等の乳製品、肉類、鮮魚、卵、豆腐や納豆は冷蔵冷凍輸送です。

冷蔵冷凍輸送のおかげで医師からは安全な医薬品が処方されます。

 冷蔵冷凍輸送品は私たちの生活物資の重要な部分を占めます。医薬品も食品も冷蔵冷凍輸送です。しかし残念ながら低温物流の関係者のご苦労とご努力はあまり知られていません。

2.冷蔵冷凍輸送には苦労が絶えません。

 冷蔵冷凍輸送には多くの場合は冷蔵冷凍トラックが使われています。電気冷蔵庫と同じ仕組みでトラック庫内を冷やします。

 電気冷蔵庫は電気がある限り冷やし続けます。温度は常に安定しています。

しかし冷蔵冷凍トラックは走行と停止を繰り返すエンジンの不安定な動力を得て、その中で一定の温度で冷やし続けなければなりません。しかも炎天下の屋外で大きな扉を開閉するので庫内の冷気が逃げてしまいます。

そのハンディを克服するために冷蔵冷凍トラックは複雑になり、とても高価で、多くの燃料が必要です。複雑なので故障も多くなり整備費が高くつきます。

 私たちは冷蔵冷凍トラックも電気冷蔵庫と同様に手間もかからず似たようなものと思いがちです。しかしながら冷蔵冷凍トラックの運用は難しく、多くが低温物流の専門会社に委ねられます。

 冷蔵冷凍輸送に携わる方々は、冷蔵冷凍トラックの運用の難しさを知り、変動する需要、気候変動/異常気象による作柄/収穫/水揚げ高の変動、2024年問題、インフレ等々と戦い日夜努力しておられます。 

3.NBコールドチェーンの強み

 私たちはこの問題を知り、かねてよりPCM冷却剤と保冷ボックスの研究開発を進めて参りました。(PCM冷却剤については、後述のよくあるご質問をご参照ください。)

PCM冷却剤クレセントFをあらかじめ冷やして冷気エネルギーを蓄積して、品物と共に保冷ボックスに入れます。

 PCM冷却剤クレセントFは少しずつ冷気を放出して何日間か庫内を冷やします。アイスクリームでも数日間保ちます。

「図2直射日光下5日間」の温度グラフは弊社製品を真夏のビルの屋上に5日間置いたときの、保冷ボックスの表面温度と中の温度です。

直射日光で表面温度が50℃近くまで上がっても中はビクともしません。

図 2 直射日光下5日間

「図 3 アイスクリームを常温で輸送」はアイスクリームに必要な-18℃以下を約52時間維持しました。展示用に途中フタを解放しました。

図 3 アイスクリームを常温で輸送

上記の事例はどちらもドライアイスは使用しませんでした。温度を保つためのファンや電池も不要です。

 

4.特徴 常温トラックで冷蔵冷凍品が運べます

PCM冷却剤のみでフラットな温度曲線が実現できます。温度を電子制御していないので温度曲線にオンオフの凹凸がありません。滑らかでしかも平坦な温度曲線です。

PCM冷却剤クレセントFは温度帯別にラインナップがあります。必要に応じて選択できます。

このPCM冷却剤クレセントFと保冷ボックスの組み合わせで、大容量、長時間、一定温度を実現します。

冷凍でも数日間の温度維持が可能です。保冷ボックスはペイロード内容積を数百リットル~1,000リットルまで制作可能です。

目的地別、温度帯別に保冷ボックスを分けて、まとめて常温で運べます。

解説1 常温トラックは手配が簡単

常温トラック、貨物鉄道、航空機、船舶が利用できます。荷扱いは常温品として運べます。搭載の制約は全くありません。青函トンネルも冷蔵冷凍状態で通過します。

図 4 常温トラックは手配が簡単

 

解説2 外気に触れずあんしん

低温物流の一貫パレチゼーションが可能です。

いったん保冷ボックスに入れればお届け先まで開けずにすみます。積みかえても外気に触れません。

図 5外気に触れずあんしん。

解説3 帰り荷は折りたためます

折りたたみの保冷ボックスやパレットサイズコンテナ (リンク先のページに動画あり)もありムダなスペースをとりません。荷扱いに応じてお選びください。

図6帰り荷は折りたためます。

解説4 保冷ボックスと常温トラックで燃費は良好

常温トラックでは故障も少なく、トラック(エンジン)も長持ちします。

常温トラックなのでドライバーさんはエンジンを止めて車輌を離れて休憩できます。軽トラックではエアコンもよく効きます。

図 7保冷ボックスと常温トラックで燃費は良好

5.よくあるご質問(FAQ)

 

  1. 市販の保冷剤とPCM冷却剤クレセントFはどう違うのですか?

⇒ 原理は同じです。水が凍って氷が溶ける性質を利用します。こういう物質をフェーズチェンジマテリアル(phase changed material, PCM)と呼びます。

 市販の保冷剤と比べ、クレセントFには冷気エネルギーを長持ちさせて、温度一定、大容積保冷ボックスでの利用を可能にする他にはない工夫があります。

 市販の保冷剤との区別をわかりやすくするために、この原稿ではPCM冷却剤と表記しています。

  1. 市販の保冷ボックスにPCM冷却剤クレセントFを入れると、上記と同じ事ができますか?

⇒ 市販の保冷ボックスの性能により効果が変わってきます。市販の保冷ボックスには性能の低いものも多くあります。発泡スチロールのボックスなどでもそうですが性能の低い保冷ボックスではクレセントFの性能を活かすことが出来ません。クレセントFの性能を引き出す弊社製の保冷ボックスとの組み合わせをお勧め致します。

  1. 寒冷地でこの製品を使うとどうなりますか?

⇒ 例えば、外気温が低いところで使用しても中の温度は、数時間から数日は変わりません。しかしいずれ外気温の影響を受けて外気温と同じになります。

寒冷地での保温目的でのご利用はご相談ください。

  1. 運送会社です。常温のトラックがあります。クレセントFと保冷ボックス、冷凍庫を装備して冷蔵冷凍輸送ができますか?

⇒ できます。初期投資を抑えた(※)、小回りの効く冷蔵冷凍輸送ができるでしょう。※冷凍トラック導入と比べた場合

  1. 野菜の冷蔵輸送と冷凍食品の冷凍輸送を同時にできますか?

⇒ できます。保冷ボックスを分けてそれぞれに適した温度のクレセントFを入れて下さい。

  1. 冷蔵冷凍トラックで鮮魚/魚介類の冷蔵輸送を行っています。匂いがつくので野菜や果物を運べません。なにか方法はありませんか?

⇒ クレセントFと保冷ボックスを鮮魚専用、野菜専用等々と分けて下さい。匂い移りがなくなります。

  1. 冷凍品の輸送に冷凍トラックでドライアイスを利用しています。クレセントFにはドライアイスも必要ですか?

⇒ ドライアイスは不要になります。クレセントFは繰り返して使えるので、はるかにおトクです。しかも安全です。

  1. 冷蔵冷凍トラックの運送会社ですが、荷主から温室効果ガスについて削減と報告を求められています。クレセントFにするとどうなりますか?

⇒ 冷蔵冷凍トラックから常温トラックに変更することで、燃費が低減します。その結果、温室効果ガスも削減できます。ドライアイスを使用していれば、その分も削減できます。

 サプライチェーンの温室効果ガスの削減に貢献します。

 有価証券報告書に温室効果ガスの削減を記載できます。

(※CO2削減率を計算する際は、燃費やドライアイス使用分以外にも、PCM冷却剤の冷却など他の要因も考慮する必要があります。)

  1. PCM冷却剤クレセントFに寿命はありますか?何年間使えますか?

⇒ 5年以上は使えます。中の液体は半永久的に使えます。しかしプラスチック容器が凍結と解凍を繰り返して次第に疲労します。

 今回ここに紹介するデータはすべて弊社による実測値です。

作図上の調整はあったとしても、データの修整や改ざんはありません。

 しかしながら同じ機材を使用しても、同じ結果になるとは限りません。

 2024年7月現在の製品をご説明しております。

 

                      

 

 

この記事の作者
コラム記事のライター
代表取締役 日野弘(info@nbcc.co.jp)

株式会社NBコールドチェーン

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