ビジネスで問題が起きないように仕込む
知識経営を一橋名誉教授の野中郁次郎が提唱
先生が提唱したSECI(セキ)モデルは、企業活動における経験に裏打ちされた暗黙知と公開情報による形式知を組み合わせる「知識経営」のサイクルこそが、多くの価値を生み出す源泉であり、企業価値そのものを規定するとして組織と知識の重要性を提言してきました。
物流改善の方法論には様々なアプローチがあり、問題解決の技法や7つ道具が紹介されています。調査分析〜問題定義から解決課題と実行運用まで、限りないプロジェクトが立ち上がって成果を産み、また失敗を繰り返し、人とモノは扱いが難しいという経験値を積み上げてきました。
物流問題はコストやミス事故に代表される典型的な症状が業界や業種ごとに共通しています。ところで業種や企業規模に関わらず、物流問題がどこも似たような症状で生まれてしまうのは、初期設定に原因があるとも言えるでしょう。つまり、物流活動の大前提というべきデザインに根本的な問題があるのです。どのような目的のもとに様々な手続きが組み込まれていたのか、というシステム設計に問題本質があると言えるのです。
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誰もが経験する物流問題とは
物流で困る企業もあれば、物流問題など全く経験しない企業も存在しています。過剰在庫、販売欠品、納期遅延、事故ミスなどモノに関わる問題は限りなくありますが、全くモノともしないで順風満帆な企業も確実に存在しているのです。それは、何故でしょうか?
優れた企業は一時が万事と言えるようにすべてが優れています。ダメダメな企業はほんとにあちこちに綻びがあるものです。
モノとヒトの問題は尽きることなく長い間多くの経営者を悩ませてきました、けれどもコツというか要諦をしっかり掴んでいる経営者は、モノとヒトに心を配り、従業員満足と物流問題の抑制に努めています。
それは、事業経験だけではなく時代や外部環境の変化にも対応できる柔軟性とSECIモデルにあるような経験知識の共有化が成功している企業組織と言えるでしょう。
原理原則を適用しながら、時代や外部環境に応じた変化対応力を育んでいることが成功の源泉になっているのだと言えるでしょう。
在庫、輸送、作業ミス、従業員のモチベーション、情報システム設計やマテハンなどのハードウェア、ソフトウェア、そしてヒューマン・マインドウェアのすべての領域に、原則はあり、そして外部変化に対応するための知識や経験を蓄積できる柔軟な組織があれば、「物流問題は起きないし、起きても自然に時間とともに自己解決できる」はずなの
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ビジネスロジスティクスの原理 令和3年4月発行
どんなビジネスにも原理原則があり、基本に忠実であれば大抵のことには動じないで事業が進められる。製品の品質が安定しており、顧客満足を維持できれば、最小限度の販売が可能であり、競争状況にも参加できるでしょう。物流問題にも原因があり、対策が講じられるのだから、「問題が起きないようにすれば良い」という理屈は通るはずです。
在庫問題、輸送問題、事故ミスモチベーション問題など、モノとヒトに関わる原理原則をまとめたのが今回の出版本です。数えてみれば57の原理原則を網羅していました。難しい理論ではなく、歴史と発展の成果としてまとめられてきた先人たちの宝です。ぜひ手にとっていただき、納得してほしいものです。詳しい紹介は、ZOOM物流塾5月8日開催です。
この記事の作者
花房賢祐
ロジスティクストレンド代表