物流塾

今年、コロナで気づいた今まで思わなかったこと

コロナショックで今までの当たり前に気づく

産業界は戦後最大の不況を迎えている。どう乗り切れば良いかが分からずに、経費削減として人員リストラ、正規から非正規へのシフトが進む。雇用調整助成金で現状維持を誓ったはずが、事業の先行き不安で規模縮小が進んでいる。主力の基幹産業は自動車、建設、不動産でGNP40%を締めており、雇用も1300万人を構成してきた。その主力産業に陰りが出れば波及は全業種に及び、だからこそ底が見えない不況感に襲われている。

今までの効率化、集中化、合理的な思考と仕事の進め方がシャットダウンを契機にして、都市の集中に疑問詞が浮かぶようになっている。コロナという人感染のパンデミックは、人の移動と集中によって拡散してゆくから、当初は人的交流を8割削減せよと言われてきた。今、第3の波が襲いながら交流を最小限にとどめていては、病死ならずとも経済死の不安が大きくなっている。

感染予防か都市化回避か

人との交流を避けてリモートワークで済むならば良いが、エッセンシャルワーカーという生命を支える仕事はそうできない。物流・ロジスティクスも医療関係、行政サービスや警察消防なども学校教育も含めて人との講習に意義と価値が生まれているからだ。

産業界は大きく変化してしまった、もうもとには戻らないだろう。感染被害者だけでなく、医療従事者やエッセンシャルワーカー、児童学生教育に携わる人々は大いなる被害を受け続けている。人交流のない社会は想像できず、代替案は限られている。

 

 かつての日常に戻れないのなら、新しい業態や仕事の進め方、産業構造や社会そのものを変えてゆく転換点にいることを自覚しなければならない。当面の移行措置を知恵と工夫で凌ぎながら、新しい時代を迎える覚悟を持とうではないか。

 

地球は人新生の時代に入っていた

 43億年の地球の歴史ははやぶさ2号が持ち帰ったリュウグウの土壌分析から明かされることになるだろう。人類7万年の歴史上、産業革命移行の300年は特異な時代と言われている。氷河期が過ぎた完新世から地球資源の発掘や大量消費、原子力による土壌汚染などは、人が地球を汚し続けている時代として、人新生と呼ばれる。

 地球資源を掘り尽くし、温室ガスを排出し続ければ、環境汚染が人の命を奪うことになるだろうし、食料や水資源の確保もままならない時期がきっと訪れる。新型コロナのような自然界のウィルス脅威だけでなく、この地球も脅威に晒されることになる。グレタさんが怒る理由を知らねばならない。資本主義のもたらす貧困と格差の行き過ぎを是正しなくてはならない時期がやってきている。欲望と資本の蓄積を放置するなら、それは人類と地球そのものの存続まで食い尽くすだろうと予測され始めているのだ。

 ちょうどよい程の経済進行と人類の幸福追求のために社会と政治をコントロールしなくてはならない。恐怖を盾にした独裁政治より科学と自由を信奉する民主主義を守らねばならない。

 7割経済でも、頻繁に起きる自然災害に備えるためにも、社会のライフラインを確保するためにももう一度物流・ロジスティクスの役割を見直さなければならない時期が今であろう。

 新年を迎えるにあたり、この一年を振り返りました。ご愛読ありがとうございました。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

ロジスティクストレンド株式会社 代表

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