効率化と品質向上を目指す構内物流標準化マニュアル 第7回~供給作業の標準化 生産工程へのサービス向上

供給サービス水準と生産工程の作業性
供給作業とは倉庫から出庫された部品や資材(以下部品等)を生産工程に届ける作業をいう。供給作業の最大のタスクは生産工程が部品等を取り出しやすいかたちで届けることにある。構内物流はサービス業である。いかにお客様である生産工程に貢献できる仕事ができるかどうかが最重要ポイントだ。
多くの工場でこの貢献ができておらず、サービス水準が低い物流を見かけることがある。結果的に生産工程の作業性が低下してしまっているのだ。構内物流の仕事のしかた次第で工場の生産性が大きく変わる要因がここにある。よく「生産工程の改善はし尽くした」ので次は「物流改善に取り組む」と言っている会社があるがそれは疑わしいものがある。物流の効率化だけが物流改善ではない。供給には工数をかけてでも生産工程の作業性を上げたほうがよいことは言うまでもない。なぜなら工場での作業者の人数は物流よりも圧倒的に生産工程の方が多いのだから。
供給作業サービスのあるべき姿と生産工程の効率化
そこで供給工程のあるべき姿を設定したうえでそれを標準化したい。まず大前提は生産工程の作業性に支障をきたすような供給方式は一切排除することだ。たとえば「今」の生産計画に不必要な部品等は届けないこと。もし不必要な部品等が置かれていると生産作業者が使う部品等を取る時に「一瞬の迷い」が発生することがある。さらにラインサイドに多くの部品等が並ぶことで不必要な歩行が発生することもある。そこで供給のあるべき姿として、「部品等だけ」を「使う順番」で「使うギリギリ前」に届けるということを定義しよう。
部品メーカーや資材メーカーから納入された荷姿のまま生産工程に供給しているケースを見かけるが、これも生産工程でのムダ発生要因となる。たとえば容器の奥に置かれている部品等を取る時に伸び上がりが発生したり、部品等同士が絡み合っているものをほぐしたりといった余分な動作が発生する可能性がある。ひどいものになると、部品等を使い終わった後に発生する空容器と新たな部品等の入った容器とを入れ替えるような作業が発生している(図1)。結果的に生産工程の付加価値作業比率が40%に満たない工場も少なくない。せめてこの比率は70%以上に引き上げたいところ。
これらのムダはすべて物流要因であるため構内物流はあるべき姿に従ってサービス水準を上げて供給したい(図2,3,4)。




供給作業のKPIとは
生産工程へのサービス度を評価するKPIとして、以下のようなものを設定してみたらよいだろう。結果系のKPIとして生産工程の作業者の動きに注目する。目指すべき姿は歩行が発生しない、迷いが発生しない、余分なハンドリングが発生しない、といったことを考えるべき。KPIとして「付加価値作業比率70%以上工程比率」などを挙げてみてはいかがだろうか。要因系KPIとして生産作業者が部品等取り時に歩行が発生しない部品等の比率を示す「歩行ゼロ供給部品比率」。生産作業者が部品等や生産設備以外に手を触れない、つまり物流容器をハンドリングすることのない「容器レス供給部品比率」。使う順番で供給される「順序供給部品比率」。いずれも全体の部品等の点数に占める比率で示している。これらをできるだけ高めていくように努力していくことが構内物流の使命だと考えよう。
【第7回まとめ】
- 供給作業とは倉庫から出庫された部品や資材を生産工程に届ける作業をいう。
- 供給のあるべき姿は「部品等だけ」を「使う順番」で「使うギリギリ前」に届けること。
- 物流要因のムダを生産工程に発生させないような標準作業を確立しよう。
- 供給作業の出来栄えを評価する結果系KPIとして「付加価値作業比率70%以上工程比率」などを考えてみてはどうか。
この記事の作者
仙石恵一
合同会社Kein物流改善研究所 代表社員










