効率化と品質向上を目指す構内物流標準化マニュアル第8回~供給作業の標準化 物流が行う生産統制とは

構内物流の本質が生産管理だと言われる理由
構内物流のタスクとは「生産管理」である。運搬という機能は構内物流において二義的なものであり、本質は生産管理にある。これは、工場内の生産工程が生産計画通りにものづくりを行えるよう、物理的な側面から生産をコントロールする役割を担っていると捉えると理解しやすい。言い換えれば、構内物流は生産統制の一部を担う部署であり、担当者は生産管理の知識を身につけておく必要がある。(図1)

構内物流は工場内を常に移動する唯一の部署であり、どの工程がどのような生産状況にあるかを把握しやすい立場にある。この情報を関連部署へタイムリーに伝達することで、問題の早期発見やトラブル回避につながる。
構内物流の重要業務として「供給作業」がある。生産工程は、構内物流が部品や資材を届けてくれることで生産活動を行うことができる。また、構内物流は生産後の完成品を入れる容器も供給する。これにより、完成品を置くスペースが確保される。ここで重要なのは、「部品等」も「完成品用容器」も、生産計画数に合わせて供給するという点である。生産計画が100台であれば、100台分の部品と100台分の完成品用容器を届ける。必要数を下回ることはもちろん許されないが、上回ることも避けなければならない。なぜなら、過剰供給は「つくりすぎ」につながる可能性があるからだ。供給タイミングは生産開始直前であり、これを生産工程の入口で生産をコントロールする「入口統制」と呼ぶ。(図2)

供給と引き取り物流を通して生産秩序を保つ
構内物流は供給作業を通じて、生産工程が生産計画通りにものづくりを行うための物理的な統制を担う。生産工程は、生産計画数分の部品や容器しか受け取れないため、計画以上の生産を行うことができなくなる。たとえば、翌日も同じ製品をつくる予定だからといって、今日のうちにまとめてつくるといった行為ができなくなる。(図3)

では、生産計画とは異なる数量の部品や容器を届けてしまった場合はどうなるだろうか。生産工程に工数の余裕があれば、計画以上の生産が可能になる。仮に100台の計画に対して150台を生産したとすると、ラインエンドには150台の製品が並ぶことになる。構内物流はこのうち計画分の100台だけを引き取り、残りの50台は引き取らない。すると生産工程は製品を置くスペースがなくなり、生産を継続できなくなる。これにより、生産工程の出口で生産を統制することができる。引き取りタイミングは生産計画上の生産終了予定時刻であり、これを「出口統制」と呼ぶ。
構内物流による生産コントロールとKPI
構内物流が生産コントロールに寄与できているかどうかを判断するためには、KPIを設定する必要がある。重要なのは、その行為が生産にどのような結果をもたらしたかである。結果系KPIとしては「生産順守率」が適している。生産計画上の終了予定時刻の前後10分を許容範囲とし、その範囲内で計画台数の生産を完了できた割合を評価する。
要因系KPIとしては「供給不良比率」が考えられる。生産計画数に対して誤った数量を供給してしまった場合、その割合を測定する。部品が1個多かった、完成品用容器が1台多かったなどの異常は生産後に判明するため、これを構内物流の成績として評価することができる。
【第8回まとめ】
- 構内物流のタスクとは「生産管理」である。
- 構内物流は「部品等」も「完成品用容器」も生産計画数分だけ供給する。これを「入口統制」と呼ぶ。
- 入口統制を行っていない場合、完成品は生産計画数分だけ引き取る。これを「出口統制」と呼ぶ。
- 結果系KPIとして「生産順守率」を、要因系KPIとして「供給不良比率」を設定するとよい。
この記事の作者
仙石 惠一
合同会社Kein物流改善研究所 代表社員










