物流塾

物流におけるDXはどのような様相なのか?

 

 昨今話題のDX、つまりDigital Transformationを直訳するとデジタルへの変換という意味だが、市井では“進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革すること”として、変革や情報改革を表している。

 

物流においては、ビッグデータ、IoT、AI、ロボティクス、5G通信などによる業務改革を意図していることになる。省力化機器はすでに多くの実験が進み、成功した機材は稼働を開始している。自動運転やAIを利用した制御機器も続々と登場してきている。

 代表的なロボットは、脚と腕の代用を越えて、指や関節まで自在に操れるようになってきている。

 そこでは人の代わりであり、人を凌駕する能力を発揮して、現場から労働力を排除するまでに進化を続けるだろう。24時間休みなく稼働できるロボットは、今までの物流の常識を塗り替えることになる。

物流デジタル化は何をもたらすだろうか?

 デジタル化の対語であるアナログ状況から振り返ってみよう。次のようなアナログ機器やアナログ手段を利用している限り、デジタル化への移行は障害があるだろう。変化は誰もが避けたい習慣の破壊だからだ。

  • パソコンエクセルを利用したグラフ作りや会議資料の数々
    (そもそも手入力はアナログだ!)
  • スマホ・ケータイ電話を利用した日常業務連絡
    (音声通話は忘れる原因だ!)
  • 出力帳票、印刷伝票、複写式シールタグなど、ペーパーに情報印字する
    (ペーパーレスの遅れ!)
  • 手書き掲示板、朝礼という情報伝達、定例会議という紙資料の読み合せ会
    (アナログ最高峰!)

 これら代表的なアナログスタイルは、手作業によるミス漏れ、記憶違い、忘れ、誤解、勘違いを発生させる。

デジタルはその名の通り、デジット情報であり再利用、応用、通信が前提の世界観を持っている。

 物流現場では未だにバーコードやデジタル機器だけがその代表例と信じられているが、デジタル実用化段階では多くのアナログ要素を排除して行くことになる。すると気づくようにミス漏れ、記憶違い、忘れ、誤解、勘違い、のない世界が表出することになるのだ。

 物流DXとは、アナログ習慣からの脱出であることを意識しなければならない。

そしてもたらされる新たな物流現場とは?

 物流DXによってすべてのアナログ形態がデジタル化すると、当然の如くにミス漏れ、記憶違い、忘れ、誤解、勘違いが消失する。

 そのような状態はどういうことか、想像することが可能だろう。

 手戻り、停滞、ミス事故、品質不良、滞留、停止がほとんど症状として現れることがなくなる理想の状況なのだ。

 そのような想像が届かない理由は、ただ残されたアナログ手段がデジタル化となっていない現状にある。

 人はだれもが変化を望むが、実は忌避している。どれほど辛く、苦しく、疲労感に溢れていたとしても、昨日と同じ状況なら受け入れられるし、明日もまた今日と同様に迎えられると信じるなら気が楽なのだ。

 変化とは蛹から蝶に生まれ変わるように、カラダを溶かし、恐ろしい苦痛と想像もつかない体験を伴ってこそ初めて変化を乗り越えたと宣言できるものであり、周りが変わることではないのだ。

 小さな改善を積み上げ、雑巾を絞るようなコストダウンに明け暮れるなら、それは軌道を走る蒸気機関車そのものであり、未来のリニアモータ列車にはなりえない。軌道を破壊して、経路を引き直す必要があるのだ。

 アナログからデジタルへの道こそが、DXを迎える態勢と言えよう。

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コラム記事のライター
花房陵 ロジスティクス トレンド(株)

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