新型コロナ脅威をどう理解するか 〜アフターコロナの世界観〜
全国での非常事態宣言が収束する目処が見えていない。なぜこんな事になっているのか、いつ収束するのか。その後の世界はどんな風景になっているのか。限りある情報源から推察を行う。
コロナ脅威の本質は何か
全世界では依然として爆発的な感染が広がっており、中国発から欧米へ広がり、185カ国で監視が続いている。250万人は感染し、17万人がすでに死亡した。
国別の感染率や死亡率は人口比で換算すると、次表のごとくである。
我が国は対岸の火事として傍観していた体ではあるが、直近では韓国の罹患数を超えて来ている。
各国の状況はロックダウンという都市閉鎖が続き、感染者数は指数的に増えてきている。
かろうじてグラフが緩いできているのは中国と韓国だけである。
コロナウィルスの本質は、症状なきキャリアが感染源となる「見えない敵」であることだ。本来なら隔離しなければならない感染者が、街中を歩き回り感染を広げているからだ。
治療法もなく、罹患者を特定するにはPCR検査しかなく、陽性ともなれば症状がなくとも隔離しなければならず、数が増えればベッドや医療従事者が不足して崩壊をもたらすからである。
だから日本では集団発生を抑制するために保健所が悪戦苦闘しながらも、一定の成果を収めてきた。世界には日本のような治安を守る交番と衛生指導の保健所制度はなく、日本では後進国時代に結核罹患率が高かったための社会体制が功奏した結果となった。
アフターコロナの世界はどんな風景か
各国のシンクタンクは国民の生活を医療と経済の両面から支えようと、政治に関与している。欧州のロックダウンに伴う休業補償制度や給与補填は、手厚い社会保障の一環として機能しているようだ。
日本ではようやく年度末の行政予算が成立し、補正追加予算として国民生活への支援制度が固まりつつあるが、社会体制の違いが露見した体となったのは残念である。
これから世界は元には戻らない、というのが各国の考察である。オリンピックも一年延期程度では各国の歩調が整わないだろう。1ヶ月の謹慎状態も解除される目処はなく、いずれ延長されるだろう。
これからは悪魔の選択を選ばねばならない事態になるに違いない。
シナリオ1:爆発的感染が広まり、大量の死者を容認して比較的中期で収束する。
シナリオ2:第2,第3の波動を経て、部分経済再開と死者の抑制を図りながら長期戦に持ち込む。
いずれの選択も病死と経済死を天秤にかける政策となるわけであり、政策批判や社会不安は避けられないだろう。
コロナウィルスはインフレエンザと同様に毎年発生して、社会を悩ますことになるだろう。いつしか変異を繰り返し、再び驚異となるに違いない。治療薬は早くとも2〜3年が必要と見られており、
(SERS、MERSも治療薬はない)すると、ヒトを介在するコロナ対策は今後も一層必要となり、3密対策は日常的となることだろう。地下室の飲食店は閉鎖せざるをえないし、オフィスは高度な強制換気装置がなければ使用禁止となるはずだ。
NEW NORMAL(新しい日常)の到来は社会を一変させるに違いない。
■人々は都市集中を避け、地方回帰するだろう。首都遷都が再び議題となるだろう。
■動的活動から静的社会への移行が進むだろう。ヒトの接触を避ける社会的仮想空間が構築される。
■医療と農業(食料)が最重要産業となり、介護・接客サービス業はロボット化するだろう。金融サービスは完全ゼロ・マイナス金利となり、専業社不要となるだろう。
この記事の作者
花房陵
ロジスティクス トレンド(株)