物流塾

職業物流無用の時代が見えてきた

物流は無くならないだろうか?

デフレ解消が進まないのは、需要<供給が絶対的要因である。つまりは商品過剰であり、需要不足というアンマッチが生じているからだ。だから備蓄や輸送というマッチングを行うための物流があるわけだが、それはサプライチェーンをより安くするだけで足りてきた。本来の物流性能を強化したり、高速化ではなかったのではないか。

先進国では最強の中国を含め、主力の消費者である労働人口が減ることで消費の絶対量が減り、商品需要からサービス需要へ転換してくるはずだ。これからは物流不要になる事が明らかだ。物流という活動が蒸発、消滅するわけではないが、明治維新の人力車が辛うじて観光地で生き延びるように、珍しい事業になるに違いない。生産地と流通の中間地点に巨大な物流倉庫が残ることもなくなるだろう。

5Gの時代がまもなく訪れる。すべてがリアルタイムで接続され、消費された瞬間にキーが弾かれ、最小限の生産活動がスタートする。予測は不要となり、在庫は予約消費で済むようになるから、物流は不要になるはずだ。

常時接続、リアルタイムの世界にバッファーはいらない

時間と空間の超越が不可能だったから、収穫と生産、消費とのタイムラグがあるから在庫が必要だった。消費の予測が外れるから在庫が必要だった。消費の場所が予測できないから輸送が必要だった。

これらの前提条件は情報が不確実で、予測ができなくて、複雑なシミュレーションが不可能だったからリスク回避のために倉庫と輸送が行われてきたのだ。
 AIの進化と消費者全員のバイオデータ、行動予測、消費傾向から「いつ、どこで、何が、どれくらい」必要なのかはシミュレートできることになる。適地適量生産と備蓄を行えば、在庫や輸送は無用となる。それを実現する条件は徹底的に雑音を排除した情報武装であり、リアルタイムの動態トレースにある。

世界最強は自動車業界、金融サービスだったが今はGAFAだ

 その意味するところは何か。商品競争、マネーゲームではなく、顧客情報コンテンツ競争になっているわけである。モノではなく顧客コンテンツ競争には、モノは不要だからSCMも不要になるわけだ。

5G時代はスマホと世界がつながり、バイオセンサー情報がクラウドに蓄積される

会話がコンテンツになり、発話がイノベーションになる。これからは常時接続の驚異とチャンスを生かせなければ、ビジネスを続けることも生き残ることもできないだろう。6Gも10年後に訪れる予言があり、健康やバイオデータ、人類の挙動やコンディションが常時観察されて人類は神の不老不死を目指すことになる。すべてのバイオデータがクラウド上で管理され、健康状態や日常生活そのものが監視され、見守られる時代に入る。もちろん、限られた人々だけがその恩恵を受けることとなり、その他の太宗はロボットに職を終われ、AIに学力や能力を判定されて生きる道を探す旅に出なければならないだろう。

ユヴァル・ノア・ハラリの【ホモデウス】はそんな人類の未来を予言しており、否定論者はまだ現れない。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房陵

ロジスティクス トレンド(株)

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