物流塾

超高齢社会となった日本を支える物流とは

 アジアで一番の超高齢社会となったニホンは、後を追ってくる世界のためにも解決策を繰り出し続けなければなりません。誰も経験したことのない高齢社会とは、活力が止まり、補修や整備が行き届かずに知恵も工夫も施されずに家が朽ちるよう地球そのものすらが滅びてしまうかもしれない大危機なのです。日本は未だに目立った動きも始まらず、このまま2020骨太の方針という誇大広告だけでは、コロナ禍で影が薄くなるばかりです。リアルとバーチャルを混在一体化できるインターネットを活用して、風の谷である地方の再生をリアルに映し出しながら、若者とシニアが隣同士に住めるムラや集落を作り直したいと考えます。

都市化から地方へ向かわせるエネルギー源が森林だ

 若者を呼び寄せ、ママさんの子育てができるようにするためには、都会を離れた地方に新たな仕事を生み出さねばなりません。

私たちは物流・ロジスティクスという、量とネットワークの研究をたくさん経験してきました。「多すぎるもの」、「まだ少ないので、成長の余地があるもの」とをつなぎ、新しくモノと情報とカネが流れる仕組みを作り出したいと考えています。

 国土の65%2510万ヘクタールが森林と国立公園として占めており、まだカネを生み出せていません。林業は労働力がかかり、輸入材にコスト負けています。今、木造住宅は高級志向とされています。でも政治の力があれば木造の公共施設を4階建て、5階建てでも作れるのです(国立競技場の美しさを見直したいものです)。国土の森林は、必ずしも建材には向いていないのですが、でもそのかか放置できず、剪定や下草処理が必要です。間引きの灌木材を利用すれば、再生可能エネルギー助成の対象となっていない!バイオマスの再生燃料になります。木材はすでに酸素を排出していますから、燃やして温室ガスを出しても帳消しになるのです。しかも、日本でのエネルギー問題は電力ではなく、熱なのです。エネルギーは熱のために輸入に頼っているのです。国立公園に点在する温泉を地熱発電に使えば良いものを、こちらも再生可能エネルギー対象にはなっていません。バイオマス発電の焼却熱エネルギーがあれば、農業や酪農、そして食品工業を発展させることができます。寒冷地には集団温水供給だった可能です。

農業食料は政策次第で、伸びしろのある産業になる

 私たちの命に必要な食料は輸入に頼り過ぎていて、60%と自給率が低く、将来の不安があります。それなのに耕して開梱した畑や田は、ある時から休耕田となり耕作放棄され40万ヘクタール(東京ドーム10万個分)も放置されたままになっています。日本人が食生活を変化させて、もう米を食べないなら、大豆、とうもろこし、小麦、牧草の輪作を行えば、豆腐・みそ・醤油の他に酪農放牧でハム・チーズ工業が成り立つはずです。

空いた土地ではなく、耕作をやめた畑は、すぐさま農園に変えられます。すでに引水路もあるだろうし、まだ近くに集落もあるはずです。

 我が国ではトマト、じゃがいも、卵だけで1000億円以上の食品工業が育っているのです。更に大豆、小麦で数百億円の企業なんて難なく育成することができるでしょう。しかも、飼料、燃料、エネルギーは交換循環させる地域通貨を利用すれば、コストは事実上ゼロ円でまかなえるのです。

農業・酪農・食品工業の産品は、コンビニやスーパー、その他のトラック物流で構成されたネットワークに載せて全国へ供給することが可能です。トラック貨物は都市から地方へ行くだけで、今でも50%しか載っていないからです。帰り荷はタダでも運べる格安の物流網になるはずです。

 このような取り組みはカルビー元社長で故人となった松尾さんが『スマートテロワール』で著し、日本で最も美しい村連合63の地域で活動を開始しています。魅力的な風の谷を作り出して、移住を促進させなければ消滅都市や集落が自治体行政を壊滅させることになるので、急がねばならないのです。

  つい先日亡くなったCWニコル氏は、日本の国土ほど世界一多様な植物、生物、自然に恵まれた大地はないと愛してくれました。私たちも日本を愛する気持ちを行動に変え、風の谷を作り出さねばならないと考えます。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

ロジスティクストレンド

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