物流塾

多くの人が成功経験から学べること

過去の成功体験

 人は誰もが成功した体験を体の奥底に秘めている。ところがビジネスを行うに当たって、諺では経験に学ぶのは愚者であり、賢者は歴史に学ぶと言う。仕事の成功体験は時代の変化に遅れを取り、昔の経験が活かされることは少ないというもの真理かもしれない。

 私は学ぶべき過去の経験は、やはり残されていると信じている。多くの人々が働く物流現場こそ、それぞれの人の過去の成功体験を引き出して活用することの大切さを、敢えて述べてみたい。過去の成功体験は、どちらかといえば、早く忘れるべきだと言う主張を多く聞く。

 そこで改めて、自身の経験を事細かに調べてみる必要があるのではないかと思っているのだ。

成功とは継続の成果

 成功とは何か。輝かしい記憶に残る体験とはどのようなものなのか。震えるような経験、思い出せば嬉しくなるような体験、競争で言えば勝利の瞬間。仕事であれば表彰や褒め称えられたことなのかもしれない。

 ところがビジネスやその他の成功体験は、努力や苦労の結果の成果ではなく、ほとんどが偶然や幸運がもたらした自然の采配だといえなくもない。「多くの努力と自己犠牲によって、獲得したのだ」と自分を褒めたい気持ちはわからないではないが、自身を振り返れば、成功や輝かしい記憶は、サイコロのように偶然と幸運が交差した結果の成功と思えることが多いのだ。

エジソンの諺に、「成功とは99%の失敗と1%の幸運」と言うものがある。成功とは失敗することから逃がれずに続けてきた結果とも言われるが、挫けそうになった自身を諦めずに続けられた理由には、表に裏に隠れた支援者がいたことに気付かなければならないだろう。

 

 そう、失敗を繰り返しながら、それでも継続する挑戦を続ける克己心は努力や自分の意欲だけでは続かないものだ。そこに誰かの励まし、応援、暖かかく見守ってくれていた支援者がいたからこそ、失敗を繰り返しながらも続けられてきた自身の姿を思いやることができる。成功の裏には必ず支援者がいたはずだと気づくことが大切ではないだろうか。過去の成功体験には支援者が確かにいたことを思い出せることが、真の成功体験と言えるのではないか。

 親、同僚、友人、気付かないでいた長年の支援者がいたからこそ、諦める心を奮起させ、挑戦することを諦めさせない原動力になったのは、支援者の力ではなかったか。

 声ある応援、信じてくれた見守り、それでも甘えさせてくれた寛容さ。

影のスポンサー

 私に成功をもたらせたのは、影のスポンサーではなかったのか。

 この振り返る自省こそが成功体験だとすれば、私はこの体験をあまねく多くの仲間や同僚、友人にも施したいと願うものである。誰かの成功には誰かがいたはずなのである。人は人を支え、支えられているからこそ社会が構成され、組織が成り立っているのだ。自身の成功が支援者によってもたらされるなら、自分以外に人にも成功をもたらしたと願うのが自然であろう。輝かしい成功、苦労の挙げ句の成果をもたらすためには、努力だけでなく、人の努力を支える思いやりと習慣が必要ではないか。誰かを支え続けることが、その誰かに成功をもたらすことができるのだと気づくとき、私の周りには多くの成功者が登場することになる。自身の成功の経験を、私以外の人にも経験してもらえるなら、私の周りには笑顔と歓喜があふれるに違いない。

 そして多くの多様な人材が集まる、物流の現場にこそ多くの成功体験を改めて、吐露する必要を感じるのだ。

 人を支え、人に支えられる習慣と行動が連鎖するなら、毎日が成功の喜びが満ちることになる。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

お問い合せ

コラムやセミナーなど、お気軽にお問い合せください

お問い合せ