物流塾

戦略ってナニ?

経営戦略なんて、どれも不十分だし、誰も見たことがないはず。

 ドラッガーは日本で経営理論の巨人として有名ですが、海外では殆ど知られていません。マネジメントを発明したといいますが、「それは何?」レベルです。組織開発によって戦略を定めたり、企業業績が左右されるのは視点が異なります。経営資源としての人材や組織力は、何をもたらすのでしょうか。ましてや、物流戦略という曖昧な語句や表現でも、人材力などと呼んで競争力に挙げられています。

 日本で戦略といえば、中期事業計画に記述される方針と計数目標でしょう。「勝つための秘策が公表される」不思議さに誰も異論を挟まないのは不思議です。

 

 秘策だから誰も書いたことも見たこともなく、「創るための教科書」があるのだとも考えられますが、内部資料にもないのですから、やはり「なし」なのでしょう。経営学者では想像と事例によって、経営の成功モデルを戦略として捉えています。優れた経営者ではなく、優れた経営者による秘策が戦略だというのです。

 Hミンツバーグは世にあふれる経営戦略を整理して、それでもまだたくさんあるから「戦略サファリ」と称して、「ナニがあってもおかしくはない」と記しました。でも体系としては随分整理できています。

 1)計画学派(中経のように数値目標です)

 2)イノベーション<創発学派>(新事業を市場で生み出す)

 3)ポジショニング(競争優位を獲得する)

 4)リソースベースドビュー(自社固有の資源を活用する)

 5)ゲーム論(市場で勝ち抜ける)

以上5つの体系が整理されたのが1999年ですから、もう古いでしょう。企業は30年寿命であり、経営者は交代するからです。戦略がナニをもたらすために作られるかを考えると、秘策などはないはずです。

外部からのキャッシュインをできるだけ大きく、少なくキャッシュアウトさせる

 

 ということに尽きます。企業活動というマシンは、インプット&アウトプットを繰り返して拡大し、質と量を増やしてゆきます。ボリュームなのか、一人あたりなのかを問わずにキャッシュ差額の最大化を図る方策を打ち続ける必要があります。

 よく言う顧客満足は、当社を支持する証拠ですから平均単価が伸びなくてはいけません。同時に仕入先も満足してくれるなら、最低価格でも提供するでしょう。その場合の仕入先満足とは、仕入先の営業経費削減につながるのです。従業員のコストはどうでしょうか。高ければ良いですが、賃金アップは企業資本の蓄積を移動させるだけなので、創造ではありません。やはり、売上が増えて利益が貯まり、人件費に還元されるまでは時間がかかりますから、「待ってもらう、楽しみにしてもらう」という魅力的な職場と事業を作り出さねばなりません。

 

経営戦略とは、「顧客(仕入先)と従業員満足」にどれだけ尽くしているか自問すること

 と言えるのが、「経営戦略は価値の創造である」と発見したフェリックス先生です。

 最大売上で最小コストなら、価値の創造に成功したといえるからで、そのためには年度や短期の計画ではなく、中長期に渡る企業文化と価値感を内部従業員に浸透させる必要があるというのです。21世紀の戦略論の究極でしょう。あいまいだった戦略論を、その言葉が意味するように究極の「略」としたのは価値=キャッシュだったというのが答えなのです。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

ロジスティクストレンド代表

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