物流塾

地域協調配送が始まるか?

 「新しい資本主義」が何たるかは一向に明らかになりませんが、ビジネスは常に競争を強いられてきました。弱音を吐けば負ける、意地を通さねば消滅する、勝つことを目指せばいつかは報われる、ということで差別化、競争、足元を掬うことばかりが正論となっていました。

 気づけばある時から、営業活動はM&Aに取って代わり、競争より吸収、競うより併呑することが資本の論理に叶う手法となり、競争が得意で信条だった営業部長は放擲される事態になっています。吸収合併したら、営業部隊は一つでもいいし、戦う相手がいなくなるから更に規模を縮小しても性能は維持されるからです。

 「商品力で競争し、物流では共同化しようではないか」と企業エネルギーの散逸を防ぐために物流共同化が言われてきました。いわば「物流には差別化要素も得意性もないから、誰がやっても、同じようなパフォーマンスしかないもんね」、とでも言うような格下げ発言が聞かれています。

 一生懸命競争に励んできた現場では、拍子抜けする事態が起こっているのですが、SDGsで省エネとかドライバーを含む受け手不足という覚束ない足元では仕方がないでしょう。

 新宿摩天楼組合という高層ビル内での館内物流を仕掛けてきた共同物流サービスが、漸く地域やエリアで取り組めるようになってきています。

 集合住宅では宅配トラック以外にも多くの車両が狭い敷地に何台も入り込み、子どもやお年寄りの事故不安が続いていました。

 縦の共同物流を横に展開すれば、社会問題は解決できる。

 物流を利用する各社の競争が外部不経済をもたらしてきましたが、見て見ぬふりの限界も感じながら、効率化の打ち手もなくなった今、地域共同配送が実験段階に入りました。

 きっとこの成功が多くの賛同を経て、全国に広まり、首都圏では大規模集合住宅を中心に一斉に拡散してゆくことが予見できます。

次はどこがリーダーシップを握れるか、機能と性能競争が始まるのです。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

ロジスティクストレンド代表

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