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自動配車を使った2024年問題対策~ “現状を知る”ことから 始めてみませんか?

 時間外労働の上限規制が自動車運転業務に適用される2024年4月まで、あと1年ほどとなりました。どうしようかと、悩まれている運送事業者様も少なくないかと思います。しかし、まだ1年あります。まだじっくり対策を講じる時間があります。
 「彼を知り己を知れば百戦殆からず」という孫子の有名な言葉がありますが、2024年問題のことを、自社の輸配送業務の現状を、今一度しっかり把握することから始めてみてはいかがでしょうか?

 当記事では、2024年問題のポイントをおさらいするとともに、自動配車を使った輸配送業務の現状を把握する術について、ご紹介していきたいと思います。
 弊社はロジスティクス分野の最適化に寄与するソフトウェア開発を行う専業メーカーです。自動配車システムを主力プロダクトとしております。

●言葉だけが一人歩きしている感のある2024年問題~運送事業者にとって一体なにが問題なのか?

 時間外労働の上限規制が自動車運転業務に適用される2024年が迫るにつれて、2024年問題という言葉がメディアでも飛び交うようになってきました。ただ、その問題の重みとは裏腹に言葉だけが一人歩きしている感もあります。2024年問題は一体なにが問題なのでしょうか。今一度、2024年問題のポイントについておさらいしたいと思います。

 ポイントは、時間外労働に罰則付きの上限規制が設けられるという、大きな変化に運送事業者も荷主も対応しなければならなくなったという点です。これまで自動車運転業務の時間外労働には法的な上限はありませんでした。が、今回初めて強制力を持った年960時間の上限が設けられることになります。
 さらに、この法改正にともなって改善基準告示も改正され、2024年4月からは改正後の改善基準告示が適用されることになります。ドライバーの1年の拘束時間は3516時間から3300時間(原則)に、1か月の拘束時間は293時間から284時間(原則)に、それぞれ短縮されます。
 1か月の拘束時間の293時間でも、「きつい」という運送事業者が少なくないなか、さらに9時間短縮されることになるのです。そのため、改正後の拘束時間を超えそうなドライバーを抱える運送事業者は、長時間労働是正・コンプライアンス遵守への何かしらの対策が必要となります。

 対策としては、輸配送業務の効率化やドライバーの増員などが考えられますが、拘束時間が短くなるうえ人手確保が必要となれば、ドライバーの待遇改善も焦点になってくるかと思います。
 そしてこれらには、荷主の協力も不可欠です。改正後の改善基準告示の内容を”自分ごと”として荷主に理解してもらうことも重要になるでしょう。

●自動配車シミュレーションで現状把握と分析を!~シミュレーション結果は荷主と交渉する際のエビデンスに

 2024年4月以降は改正後の改善基準告示が適用されます。そのため、運送事業者様におかれましては、まず、2024年4月以降もはたして従来通りに業務ができるのかできないのか、コンプライアンス違反になるのかならないのか、という点を把握しておくことが重要になるかと思います。そしてその際に便利なツールとなるのが自動配車システムです。

 ここからは弊社が提供する自動配車システム「LYNA 自動配車クラウド」を例にしてお話をいたしますが、「LYNA 自動配車クラウド」を、自社の輸配送業務の現状把握と分析をするためのシミュレーション目的で使用するのです。

 自動配車システムといえば、日々の配車業務を効率化させる、配車業務の属人化を解消させる、のに有効なシステムだというイメージがあるかもしれませんが、シミュレーションという使い方もできるのです。
 「LYNA 自動配車クラウド」で配車を組めば、配送ルートはマップ上に、一日の運行予定・車両の稼働状況はガントチャートで表示され、距離や時間、必要となる車両台数なども明示されます。自動で最適な配車が組めるという自動配車システム本来の機能は当然ながら、「輸配送業務を可視化できる」というメリットも「LYNA 自動配車クラウド」にはあるのです。
 さらには、設定上で改善基準告示に則った車両の稼働時間を設定すればコンピューターは、設定を超える稼働時間の計画を立てることをしません。例えば、1日の車両の稼働時間を13時間以内に設定すれば、その範疇で最適な計画を立案することになるため、改善基準告示に則った計画が立てられるというわけです。
 シミュレーションをする際は、サンプルとする発注データ(過去のものでも可)を使用して、改正後の改善基準告示に合わせた設定をすれば、容易に現状把握と分析ができます。
 もしシミュレーションをして、その結果、荷物が割りつかない未配のアラートが出たとすれば、それは車両台数を増やしたり、荷主から要求される制約条件を緩和したりすることが必要だということです。

 反対に、未配のアラートが出なければ問題なく業務が回せるということです。感覚的に「今のままではコンプライアンスを遵守して業務を遂行するのはムリ」だと思っていても、コンピューターが以前より効率の良い配車を立案する可能性もあります。
 また、未配のアラートが出たとしても、シミュレーション上で、「荷物の着時間指定を緩和したら」、「待機時間を短縮させたら」などといったような色々なシナリオを試してみることで、運ぶ荷物の量や車両台数の数はそのままにドライバーの労働時間短縮につなげられる可能性も見えてきます。
 そして、シミュレーション結果は、荷主と交渉する際のエビデンスになり得ます。「このままだとコンプライアンスを破らないとムリな状況」だということがわかる、あるいは「制約条件を緩和してくれればコンプライアンスを遵守した運行が可能」だということがわかる、このような定量的に判断できるロジカルな配車計画があれば、交渉もしやすくなるかと思います。

 自動配車システムを活用することで、現状把握と分析が短時間でできるとともに、荷主との交渉をはじめ、具体的な改善への道筋を立てやすくなります。さらには、その後の日々の配車業務においても業務効率化や標準化に役立てることができます。2024年4月までまだ1年あります。自動配車システムを、まずは今後を見据え現状把握・分析をするためのシミュレーション目的で使ってみてはいかがでしょうか。

●労働時間短縮の取り組みは若者の雇用促進にも

 今回、時間外労働の上限規制が年960時間として適用されますが、将来的には、自動車運転業務も一般則と同様(年720時間)にすることが検討されているそうです。社会全体の傾向として労働時間を短縮させようという流れは強まってきています。
 運送事業者様におかれましては、売上減少やドライバーの離職リスクなどマイナス面に目が向いてしまうかとは思いますが、一方で労働時間短縮などの業務環境の改善を図ることは、若者の雇用促進などのプラス面も期待できます。
 最近は「稼げれば、残業が多くても休みがなくても構わない」という考え方を持っている若者が減っている傾向にあるようです。余暇や家族との時間を確保しながら働きたいと考えている人も多いでしょう。
 労働時間短縮が実現されれば、それを若者に積極的にアピールすることもできます。プラス面に目を向けて労働時間短縮の取り組みを推進するのもひとつではないでしょうか。
( https://lynalogics.com/ )

この記事の作者
コラム記事のライター
株式会社ライナロジクス・営業部・マーケティングチーム

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