物流塾

税収70兆円は吉兆か?

 最近のニュースに流れた、70兆円税収最高額更新は、日本の景気回復を示唆していました。その後のトピックでも、夏ボーナスも最高額と続き、日本のデフレマインドは完全に克服されたとミスリードしている論調でした。皆さんに景気回復の実感はあるのでしょうか。肝心の法人税ですが、現在の法人税率はかつての40%から段階的に引き下げられて232%まで下がってきています。 

税率が下がっても税収が増えるとは一体どうなっているのか? 

  税とは何か答えられますか国民の義務に勤労があり、労働所得には税が課せられます。税は戦国時代からも米の収穫量に応じて、 年貢米として統治する武家に納めていました。その厳しい徴収に、年貢米の基礎となる収穫量を計測するために米俵のサイズを変えてみたり、一升枡のサイズも微妙に大きくして(小さくして)収穫量や年貢量を操作していたと記録にあります。今も昔も税を少なくしようと必死だったのは、面白いというか伝統なのですね。

 徴税回避のために多くの手法と免税措置が取られてきました。厳しい徴税から逃れるために、架空経費を計上したり、売上を逃したり、まさに一升枡を小さくして年貢米を少しでも減らす努力を重ねてきたのが私たち日本人に刻まれた歴史だったのです。

 「少しでも納税額を減らしたい」 それなのに歴史的偉業としての法人税最高額更新

 一体何が起きているのでしょうか。本当に景気は回復しているのでしょうか。

税は公共の福祉、それとも罰則?

 税には二面性があります。一つは社会を支えるための公共政策を維持するための必要経費をあまねく広く負担するという役割。日本では累進課税制度があり、労働所得にはその収入に応じて0%から55%までの所得税が負担させられます。

 もう一つは、懲罰的な「消費抑制」の意味もあります。たばこ税、酒税、消費税のように消費活動そのものに負担をさせることで、その行動を抑制することが目的です。
 消費税も実際には消費抑制に働いているのです。〜〜ですよね。

 かつては高額品、贅沢品、趣味品には物品税という直接税もあり、消費を抑制させてきました。物品税は名前を消費税に変えただけの本質的に同じものです。

 社会福祉に充当させる目的の新しい税制だ、というのはまやかしです。消費税だけが目的と管理を明確に区別しているわけではなく、国家にとっては税収全部を様々な用途に支出しますから、消費税徴収額を防衛予算や国会議員の歳費ににも使途されているわけです。

法人税率の減免と消費税率アップは連動した

 法人税収と消費税収は2002年に均衡して、2008年には逆転して法人税率の減少と消費増税が進行中です。2013年の消費増税からは、今や個人所得税を超過して税収のほとんどが消費税になっていることが驚きですね。

 日本の主力産業は自動車業界ですが、GDP560兆円の半分以上を家計消費が占めてるのはご存知でしょう。物流ビジネスは自動車業界と消費財によって成り立っていると言えるのです。そこで改めて考えていただきたいのは、平成不況は乗り越えられたのか、という素朴な疑問です。

 景気の実感は家計に表れずしてどうとでも言いようがあるのです。お買い物天国の日本ではまだまだ欲しいものがどんどん登場してきていますが、給与が上がらないために買い控えしている実感は確実にありますよね。つまり、需要が伸びないので製造も流通も苦戦しているのです。売るために値下げして、赤字覚悟でもやっぱり売れないで倒産するスーパーが徐々に増えてきています。

 需要に必要な消費活動を促進させるために、自民党以外は消費税反対を訴えていますが、そのどこがおかしいのでしょうか。政権は法人税を下げながら最高税収を事実として、景気は回復していると宣言しますが、どうしても腑に落ちないですよね。

法人増税を行うと経営者の判断はどう変わるか

 税を払いたくない感情や行動は違法でない限り許されます。ですから法人増税が行われれば、決算利益を圧縮するために<経費を使い、利益を抑えようとします>、いわば消費活動に拍車がかかるはずです。投資はその全部が経費にはならないのですが、単年度の償却分は経費となりますので、やはり投資活動は活発になるでしょう。

 消費活動が活発なることが、すなわち景気回復なのではないか。

 法人増税と消費減税を同時に実行すれば、一気に消費活動が活発化するはずなのは、よく考えればわかることではないでしょうか。〜〜それなのに。

 物流業界は忙しくて、人手が足りなくて、運べない嬉しい悲鳴状態なのでしょうか。違いますね、売り上げが足りない流通業界と全く同じ状態に置かれているのです。

 もっと消費が活発になれば、料金も賃金も上がることが明白なのに、消費抑制となる税制を敷き続ける政策に誤りはないのでしょうか。よく考えてみたいものです。

この記事の作者
コラム記事のライター
花房賢祐

ロジスティクストレンド

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